Q.老健の看護師は大変ですか？

老健看護師で大変と思うこと 4つ

多職種連携の“ハブ”業務

老健では医師・PT/OT/ST・介護職・支援相談員などが同じフロアで働きます。看護師は利用者さんの医療的データを基にケア方針をすり合わせる「調整役」になりやすく、毎日の申し送りやカンファレンスで意見をまとめ上げる力が欠かせません。リハ職は機能回復を急ぎたい、介護職は安全面を優先したい――といった価値観のズレを丁寧に拾い、利用者本位のプランに落とし込むまでが看護師の腕の見せどころです

介護業務との境界があいまい

経管栄養や褥瘡処置といった医療行為の合間に、食事・排せつ・体位交換などのADL介助が当然のように並列します。特に夜勤帯は看護師が介護スタッフのシフト穴を埋めるケースも多く、「身体介助は介護職の仕事」という病棟時代の感覚のままだとギャップに苦しみがちです。腰痛予防のボディメカニクスや移乗機器の使い方まで把握しておくと負担感が激減します。

“医師不在”夜勤での急変対応

夜間はオンコール医師に電話連絡を取りながら、看護師が一次判断・一次処置を行う体制が一般的です。誤嚥・転倒・呼吸苦などの急変時には、救急要請の可否を含めたトリアージを数分で決断しなければならず、プレッシャーは小さくありません。日頃から家族連絡網や救急搬送ルートを整理し、緊急物品を手元に置く“夜勤ルーチン”を整えておくことが安全管理のカギになります。

“生活リズム×医療管理”の二重管理

在宅復帰をゴールに掲げる老健では、血圧・血糖などの医療管理をしつつ、離床・食事・リハビリの生活リズムも整える必要があります。バイタルの微細な変化と「今日は歩行距離が伸びた」「食事摂取量が落ちた」といった生活情報を突き合わせ、リハ強度や服薬調整を即座に提案する——この総合的な視点が求められる点が、病棟と大きく異なる難しさです。

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老健で働くメリット 4つ

“経過を見守る看護”ができる

　厚労省資料による平均在所期間は約10か月（施設によっては3〜6か月）と病棟より長めで、リハビリ効果やADL向上をゆっくり見届けられます。退所カンファレンスで「家でお風呂に入れました」と聞いたときの達成感は格別で、慢性期や在宅看護志向の方にとっては大きなモチベーションになります。

医療処置と介護アプローチを同時に磨ける

　褥瘡ケア・PEG管理・インスリン調整など医療行為を維持しながら、生活リハや認知症ケアにも深く関わるため、病棟と在宅の“ハイブリッド”なスキルセットが身につきます。「将来は訪問看護や居宅ケアマネも視野に…」というキャリア設計に相性抜群です。

残業・夜勤が比較的少なく生活リズムを整えやすい

　救急搬送やオペがなく、夜勤は見回り中心という施設が多いため、突発的な残業が発生しにくい傾向があります。日勤帯もシフトが安定しているため、子育てやダブルライセンス取得の勉強時間を確保しやすい点が人気の理由です。

地域包括ケアの最前線で退所支援を学べる

　老健は「在宅復帰支援拠点」という国の位置づけがあり、退所前訪問や家屋評価、かかりつけ医・訪問看護との連絡調整など地域連携業務が日常的です。地域包括ケアシステムの実践を肌で体験できるため、退院調整看護師や地域連携室へのステップアップに直結します。

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老健に向いている人の特徴 4つ

高齢者の“生活を支える喜び”を感じられる人

排せつ介助や食事介助など“暮らし”に密着したケアが多いため、小さな成功体験に共感し「昨日より笑顔が増えた」と一緒に喜べる感性が重要です。

多職種とフラットに話し合える人

利用者を中心にドーナツ型のチームを作る老健では、専門職同士が上下関係なく意見を出し合います。自分の専門性を押し付けず、相手の言葉を翻訳してチームに還元できるコミュニケーション力が光ります。

“急変の一次対応”に腹をくくれる人

夜間の急変時、看護師がファーストレスポンダーになることを前提に、BLSや救急搬送の判断を自主的に行える胆力が求められます。救急経験がある人は大きな強みになりますが、マニュアル整備やシミュレーションに前向きなら未経験でも活躍できます。

在宅医療・地域連携に興味がある人

退所支援カンファレンスやケアマネとの調整に積極的に関わる姿勢は、老健の理念と高相性です。訪問看護や地域リハへのステップとして「現場で在宅医療を学びたい」人にこそ向いています。

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