「仕事量がおかしい」という状況であっても、仕事量がおかしい理由を正しく見極め、適切な意思表示を行うことで、不公平な状況を変えられます。
ただし、中には上司がわざと膨大な仕事を押し付けている、いわゆる「パワハラ」のケースもあります。
この場合は、然るべき対策が別途必要です。
そこでこの記事では「仕事量がおかしくなる背景や対処法」「パワハラかどうかの見極め方」を解説していきます。
仕事量の配分・分担に不満を抱えているという方は、ぜひ参考にしてください。
すべて読めば、不公平な状況から抜け出す方法を理解できるでしょう。
仕事量の配分・分担がおかしくなる原因
仕事量の配分・分担が不公平になる原因は主に以下の通りです。
- 上司が部下の仕事量を把握していない
- 優秀な人ほど仕事量の負担は大きくなる
- 周囲の社員が手を抜いている
- 頼み事を断れない性格をしている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
上司が部下の仕事量を把握していない
仕事量の配分・分担がおかしくなる最大の原因は、「上司が部下の仕事量を正しく把握していないこと」にあります。
特に、
- マネジメント能力が低い上司
- 視野が狭く、自分のことで精一杯の上司
のもとで働いている場合、適切な割り振りがされないケースが多いようです。
また部署の人数が多すぎる場合も原因の一つです。
上司がそれぞれのタスクを管理できないため、一部の人にしわ寄せが生じてしまいます。
優秀な人ほど仕事量の負担は大きくなる
優秀な人ほど仕事量の負担は大きくなります。
テキパキと正確に仕事をこなす人は周囲からの評価が高くなり、次々と仕事を任されるようになります。
一方、能力が低い人は仕事が回されず、それほどタスクを抱えることもない、という状況になるのです。
また難度の高いタスクや責任の大きい業務も、仕事ができる人に集まりやすくなるものです。
結果として、仕事ができる人ほど負担が重くなってしまいます。
周囲の社員が手を抜いている
周囲の社員が手を抜いており、そのしわ寄せがあなたに及んでいるケースです。
だらだらと手を抜いて仕事をしている人の分を、カバーしなければならなくなり、必然的にあなたのタスクが増えることになります。
真面目に取り組んでいるにも関わらず、周囲がサボっているせいであなたの負担が重くなっているのです。
そのうえ、あなたがどれだけ頑張っても、手を抜いている人より給料や評価が上がるとは限りません。
たいていの企業は評価制度が非常に曖昧だからです。
頼み事を断れない性格をしている
あなたが頼み事を断れない性格をしている場合、次々と仕事を回されやすくなります。
頼み事を断れない人の特徴は以下の通りです。
- 人当たりがよく、頼りにされやすい
- 友人から悩みを相談されることが多い
- 断ったら相手を傷つけてるのではないかと思ってしまう
- 愛想が良いと言われることが多い
組織の中で働く以上、「頼まれたら断れない」というのは至極当然のことです。相手を不快にさせてしまうかも、と思うこともあるでしょう。
しかしながら、頼まれたことをすべて引き受けてしまうと、「あの人は頼みを快く引き受けてくれる」といった印象を与えてしまい、次から次へと頼み事をされやすくなます。
負の循環が生み出されてしまうため注意が必要です。
また、他人の分の仕事を引き受けてしまったがために、あなたが本来やるべき仕事にまで支障をきたす可能性があります。
もう悩まない!仕事量がおかしいと感じた場合の4つの対処法【即効性あり】
仕事量がおかしいと感じた場合は、以下の方法を試してみてください。
- キャパオーバーであることを上司に直接相談する
- きっぱりと断ってみる【一度断るだけでも効果あり】
- 80%の力で仕事に取り組む
- 周囲の助けを借りる
それぞれ詳しく解説していきます。
キャパオーバーであることを上司に直接相談する
仕事の不公平さに不満がある方は何よりもまず、キャパオーバーであることを上司に直接相談しましょう。
なぜなら、あなたが過剰にタスクを抱えていることを、上司が気づいていないだけの可能性があるからです。
仕事の量というのは必ずしもすべて目に見えるわけではありません。
したがって、「仕事量が多い」という状況は、口にしなければ伝わらないことも実は多いのです。
直接相談してみることで、あなたの抱えている仕事量を上司に正しく把握してもらうことができます。
単純に上司が気づいていなかっただけの場合、これだけで状況が格段に改善することも珍しくありません。
きっぱりと断ってみる【一度断るだけでも効果あり】
次に上司や同僚から仕事を頼まれた際は、きっぱりと断ってみましょう。
仕事を依頼する側は、あなたの抱えているタスクの量を正確に知っているわけではありません。
また、仕事を回す理由も「なんとなくあの人は断らないから」といった曖昧なものであることも多々あります。
したがって「NO」と意思表示しない限り、都合よく使われる存在とみなされ続けてしまう恐れもあるといえるでしょう。
ちなみに、たった一度断るだけでも効果があります。
これは「一度断られた人には、なんとなく頼みづらくなる」という心理が働くからです。
今後頼み事をされることも少なくなるでしょう。
80%の力で仕事に取り組む
日々全力で仕事しているがゆえに、不公平な割り振りをされている方は、80%の力で仕事に取り組むことも意識してみてください。
100%の力を発揮するほど、余計な仕事も割り振られるようになってしまい、無駄に疲弊してしまうからです。
また、周囲に手を抜いている人がいる場合、その人はあなたの仕事ぶりに甘んじている可能性があります。
あなたが仕事をやってくれるから大丈夫だろうと考えているかもしれません。
不公平な働き方をしていると感じているならば、あまり全力を出しすぎず、「少し肩の力を抜いて仕事をする」方が精神的にも楽に働けるでしょう。
周囲の助けを借りる
「仕事量がおかしい」と感じた際は、周囲の助けを借りることも大切です。
仕事をたくさん抱え込んでしまう方の中には、「人に頼るのが苦手」という性格の方も少なくありません。
もし上司からの仕事の割り振りがおかしいと思ったら、タスクを適切に見極めた上で、周囲の人に頼んでみてください。
あなたの抱えている仕事のつらさを理解してくれる人ならば、きっと快く受け入れてくれるはずです。
このようにお互い協力し合いながら、バランスよく仕事ができる関係こそが、理想のチームと言えるでしょう。
ここまでのまとめと注意点
仕事量の割り振りがおかしいと感じたときの対処法は以下の通りでした。
- キャパオーバーであることを上司に直接相談する
- きっぱりと断ってみる【一度断るだけでも効果あり】
- 80%の力で仕事に取り組む
- 周囲の助けを借りる
いずれかを試してみるだけでも、状況は改善されていくでしょう。
しかし、これらの対処法が通用しないケースが一つだけあります。
それは、上司がわざとあなたに膨大な仕事を押し付けているという場合です。
これはいわゆる「パワハラ」に該当する可能性が非常に高く、相談したり断ったりしても状況は改善されづらいでしょう。
仕事を異常に押し付けられているという方は、パワハラを受けているというケースも少なくないのです。
そこで次の章からは、「パワハラかどうかを見極めるポイント」と「パワハラを受けている場合の対処法」を詳しく解説していきます。
仕事量がおかしいのは「パワハラ」の可能性もある【見極め方と対処法】
上司から明らかに常軌を逸した量の業務を割り振られる状況は、権力や立場を利用した嫌がらせ=パワハラである可能性もあります。
不公平な仕事の割り振りがパワハラかどうかを見極めるポイント
以下のいずれかに当てはまる場合は、パワハラと考えて良いでしょう。
- 達成不可能な業務を割り振られた上に、「なんでそんなこともできないんだ?」と罵倒される
- 教育や説明が一切されないまま、対応しきれないレベルの仕事を任される
- 「できないのは甘え・逃げ」などの精神論で叱責される
- 同僚や周囲との業務量に、歴然とした差(誰が見てもわかるほどの違い)がある
上記のような環境であからさまに多すぎる仕事量を割り振られている場合、パワハラに該当する場合があると理解しておきましょう。
できるレベルを逸脱している仕事量を与えられている場合、それはパワハラに該当する場合があります。
仕事を押し付けられるパワハラを受けている場合の対処法
パワハラを受けている場合の対処法は以下の通りです。
- 人事・労務担当者に相談する
外部の窓口に相談する
環境を変える
それぞれ詳しく見てみましょう。
人事・労務担当者に相談する
上司からパワハラまがいの扱いを受けていると感じた場合は、まず会社の窓口や人事担当者に相談しましょう。
人事や労務などある程度独立した部署に相談ことで、客観性を保ちながら適切な対応をとってもらうことができます。
この際、日々どれほどの不当な扱いを受けているのかを正しく伝えることを意識してください。
外部の窓口に相談する
「社内での解決が見込めない」「小規模の会社なので相談すると内容が筒抜けになってしまう」場合は、外部の窓口を利用しましょう。
職場のハラスメントを相談できる機関は以下のようなものがあります。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局)
- 個別労働紛争のあっせんを行っている都道府県労働委員会・都道府県庁
- 法テラス(日本司法支援センター)
- みんなの人権110番全国共通人権相談ダイヤル
- かいけつサポート
特に労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナーは、無料で働き方の問題に関する相談を行うことが可能です。電話での相談にも対応していますので、気軽に利用できるでしょう。
環境を変える
不公平な毎日を抜け出すなら「環境を変える」のが最善の方法です。
パワハラが常態化しているような職場は、少々のことでは変わりようがないからです。
一時的に改善されることはあるかもしれませんが、やがて時間が経てば元通りになってしまうでしょう。根本的な解決は期待できません。
環境に問題がある場合、自分の力や行動で改善するのには限界があります。
不公平な扱いを受ける毎日から抜け出すためには、転職などを通して環境そのものを変えるのがもっとも堅実と言えるでしょう。
不公平な毎日を抜け出すなら転職を視野に入れておこう
異常な仕事量を押し付けられる毎日を過ごすことには、以下のようなリスクがあります。
- 残業が増え、体を壊してしまう
- 労働に見合った給料が得られず、損をし続ける
- 責任の大きい仕事を押し付けられ、精神的にダメージを負う
心身に影響を及ぼしたり、不当に搾取され続け損をしたりする可能性があると言えるでしょう。
パワハラが常態化している職場で漫然と働き続けるのは非常に危険です。
もしもメンタルに不調をきたすようであれば、あなたのキャリアに傷がつく恐れもあります。
精神的な余裕があるうちに、転職に向けた準備だけでもしておくことを強く推奨します。
さいごに
「仕事量が自分だけあまりにもおかしい」と感じる方に向けて、原因と対処法を解説しました。
まずは「上司に伝える」など、今の職場で状況を改善する方向で考えてみてください。
それでも一向に状況がよくならないのであれば、環境を変える方針に切り替えてみましょう。