薬キャリは「人材紹介会社の保有求人」と「企業(薬局)が掲載している求人」が集まる広場のようなサイト
まずは薬キャリの説明から。薬キャリはトップページに求人がたくさん並んでいますが、仕組みを簡略化すると以下のようになります。
薬キャリ
= ①色んな人材紹介会社(転職エージェント)が求人を持って集まっている情報サイト + ②求人広告サイト(掲示板)
薬キャリはまず大きな広場のような空間をイメージしてください。その広場に①人材紹介会社求人ゾーンと、②掲示板求人ゾーンがあります。
①薬キャリは人材紹介会社の宣伝の場
では、まずは①から解説していきます。
①薬剤師専門の人材紹介会社(転職エージェント)が、自社の保有求人を持って宣伝しているスペースです。
そもそも薬剤師専門の転職エージェント(ファルマスタッフ/マイナビ薬剤師など)は、それぞれ求人案件を保有しており、常にその求人にぴったり合った薬剤師さんを探しています。
基本的には自社サイトからの登録・求人応募を受け付けているのですが、それだけだと思ったように薬剤師さんが集まらないので、色んな場所に出向いて「ウチのエージェントはこんな求人を扱っていますよ。良かったらウチのエージェントに登録しませんか?」と宣伝しています。その宣伝場所の一つが薬キャリという情報サイトです。
だいたいの大手人材紹介会社は、薬キャリと提携しており、サイト上で自社保有求人の宣伝をしています。大手から無名まで玉石混交です。
薬キャリ上には求人が掲載されていますが、全て人材紹介会社の保有求人なので、応募するためには毎回人材紹介会社に登録しなければなりません。
福利厚生や残業時間などはサイト上で開示されておらず、詳細を見るだけでも人材紹介会社への登録が必要となります。
②「薬キャリ直接応募」は企業(薬局)が掲載している求人
ややこしいのが、薬キャリはシンプルな求人広告サイトの側面もあるという点です。
イメージとしては求人広告が貼られた掲示板のようなもので、薬局チェーンなどの企業が直接求人を掲載しています。
企業が直接掲載している求人目印は、以下の表記です。
「薬キャリ直接応募」と記載がある求人は、紹介会社の保有求人ではなく、企業が直接薬キャリ上に載せている求人となります。
ちなみに人材業界には、「お祝い金は原則禁止だが、直接応募の求人経由で決まった場合はお祝い金を支給しても良い」というルールがあります。
薬キャリ直接応募の求人もこれにのっとって、採用お祝い金制度を実施しています。
- 薬キャリ経由で応募して採用が決まり、30日以上継続して働くともらえるお金
- 正社員の場合4万円、パートの場合は2万円
- お金の出所は、職場ではなく薬キャリ
- 自ら申請する必要がある
薬キャリ利用のメリット・デメリット
利用のメリットは以下の通りです。
- 色んな紹介会社の求人を一気に閲覧できるので、選択肢が増える
- 直接応募の求人で採用されればお祝い金がもらえる
一番のメリットはお祝い金かなと思います。薬キャリを使う際は、紹介会社が持ち寄っている求人ではなく、直接応募の求人に絞ってエントリーするのがポイントです。
デメリットは以下の通りです。
- 気になる求人を見るだけで、何社ものエージェントに登録しなければならないため、調整が面倒
- 1社ごとに面談を行う必要がある
- 直接応募の求人は、紹介会社のサポート一切なし
- 無名のエージェントに登録してしまう可能性がある
一番のデメリットは太字にした箇所で、求人が魅力的なだけで扱っている紹介会社が無名で頼りにならない、というケースがあることです。そういった紹介会社に登録してしまうと、それ以降の求人紹介も期待できませんし、サポートも微妙であることが多いです。
薬キャリエージェントは、エムスリーキャリアが提供する転職エージェントサービスのこと
一方、薬キャリエージェントは、エムスリーキャリアが運営する転職エージェントのことです。
仕組みとしては、薬剤師と薬局を仲介する存在で、以下のような流れで利用します。
登録ページから情報入力します。
担当アドバイザーが決まるので、その担当者に「こんな職場を探している」と条件を伝えます。
およそ10件程度、おすすめの求人を紹介してくれます。
エントリーや面接の日程調整、年収交渉、入職日の調整などを全て代行してもらえます。
薬キャリエージェント利用のメリット・デメリット
利用のメリットは以下の通りです。
- 「何から初めて良いか分からない状態」からスタートして、転職成功までたどり着ける
- 主体的に動かなくても、転職活動が半自動的に進む
- 選考の日程調整や疑問点の質問を代行してくれる
- 腕の良い担当者なら、良い求人を見繕ってくれる
- 採用担当者にプッシュしてくれる(転職成功すれば収益になるため)
- 求人年収の水準が高く、年収アップ転職も期待できる
特に太字にした4つが他に代えがたいメリットかと思います。
薬キャリエージェントは、面接や入職の日程調整を代行してくれるのはもちろん、直接聞きづらいことも代わりに確認してくれます。(ぶっちゃけ残業時間どのくらいか、など)
それに担当者次第ですが、薬剤師業界に詳しい人に担当してもらえれば、かなり条件の良い求人を見繕ってくれるでしょう。
またこちらも担当者の腕次第ですが、あなたの人柄や経歴などを先方の採用担当者に上手い具合にアピールしてくれます。薬キャリエージェントは、登録者の採用が決まれば薬局から手数料をもらう形のビジネスモデルです。
ゆえにあなたの転職成功=稼げる、なわけですから、キャリアアドバイザーにも力が入ります。さらに、転職サイトの稼ぎはあなたの収入次第(年収の30%)なので、最後の最後で年収アップの交渉を先方にしてくれることもあります。
そしてそもそも薬キャリエージェントは、求人の年収水準が高く、ハイクラス転職向けです。
デメリットは以下の通りです。
- 薬キャリよりも求人数が少ない
薬キャリエージェント1社の保有求人しかないので、必然的に薬キャリよりも選択肢は少なくなります。
結局どちらを使うべきか
薬キャリと薬キャリエージェントのメリット・デメリットを踏まえて、おすすめの人をまとめます。
薬キャリがおすすめな人
- とりあえず求人をみたいだけ
- パート薬剤師
- 何度か転職を経験したことがある薬剤師
薬キャリは「1年後くらいには転職しようかな~。とりあえず求人を見たい」くらいの温度感の人が、「今どんな求人があるのかな」と見てみるのにおすすめです。もし場所や年収が理想の求人があれば、その都度紹介会社に登録したり、直接応募したりするというのに適しています。※逆に転職意欲が高い人が使うと、最終的に何社も紹介会社に登録することになりがちでかなり面倒
また、「扶養内で働きたい」などのパート薬剤師さんの場合、わざわざ紹介会社を経由しなくても、薬キャリの直接応募求人に問い合わせれば、よほど出ない限りスムーズに採用が決まると思います。(お祝い金2万円ももらえる)
転職を何度か経験した薬剤師さんも、薬キャリの方がおすすめです。転職活動の勝手が分かると思いますし一定以上のキャリアもあるはずなので、直接応募でも採用が決まるでしょう。
薬キャリエージェントがおすすめな人
- 転職希望時期が6ヶ月以内、割と急いでいる
- 転職活動がはじめて
- 高年収の求人を探している
- 派遣で働きたい
薬キャリエージェントは、最短2週間での転職成功事例もあるほどサポートの積極性が高いエージェントです。
転職希望時期が6ヶ月以内で、理想はもっと早く職場を決めたいという人など、なるべく早く転職したい人におすすめです。※反対に薬キャリは、割と余裕がある人向け。広場にある求人をぼんやり眺めながら歩く、みたいな感じですね。
また転職活動が初めての人は、複数の紹介会社に登録するとやり取りがかなり煩雑になるうえに、「結局どの紹介会社が言っていることを参考にすればいいか分からない」となりやすいので、まずは薬キャリエージェント1本に絞ってスタートしてみることをおすすめします。
薬キャリエージェントはハイクラス求人に強みがあり、事業責任者候補やエリアマネージャー候補など、年収で言うと600~800万円付近の求人を多く扱っています。キャリアアップ転職にもおすすめです。
ちなみに薬キャリエージェントは派遣求人にも対応しているので、派遣就業を検討している人にもおすすめです。※派遣求人を扱っているのは薬キャリエージェントとファルマスタッフのみ
薬キャリと薬キャリエージェントの違いとおすすめな人の解説は以上となります。
よくある質問
薬剤師転職エージェントに関する質問
転職エージェントとは?
人材を採用したい薬局・企業と求職者をマッチングさせる人材紹介サービスです。以下のことをしてくれます。
- 非公開求人の紹介
- 薬局・企業への推薦(プッシュ)
- 選考対策(書類添削や面接回答のアドバイス)
- 給与交渉
- 面接日時の取り決め代行(便利!!)
求職者側に費用は一切かかりません。情報収集のために使うのもアリです。
転職エージェントはなぜ無料?
転職エージェントは薬局・企業からお金をもらうビジネスモデルだからです。
薬局・企業に人材を紹介し、薬局・企業からの手数料を収益としています。なので求職者は完全無料で利用できるのです。
またそもそも人材紹介事業では、一般の求職者からお金をもらうのが禁止されています。
転職エージェントを使う流れは?
以下の流れで進んでいきます。
- 会員登録
- 登録確認の電話と初回面談の日程調整
- 初回電話面談(ここで希望条件を伝える)
- 求人紹介が届く
- 気になる求人にエントリー
- 選考を受ける
気になることや疑問点があれば適宜質問できます。また、書類作成のアドバイスなどももらえます。
転職エージェントは使わない方がいいと言われるのはなぜ?
転職エージェント経由での採用を渋る薬局・企業もあり、結果的に選考で不利になるケースがあるからです。転職エージェントを経由すると紹介料が発生し、薬局側は金銭的な負担が生じます。人材採用にかけるお金がない、というお財布が危ない薬局では、転職エージェントというサービス自体に嫌悪感を持っている採用担当者もいます。
とはいえ、転職エージェントを利用しないと選択肢がかなり絞られるのも事実。もはや転職エージェントを使わずして求人を探すのは難しいと思います。
転職エージェントは何社利用すべき?
2~3つ併用するのがおすすめです。求人の選択肢が増えるうえに、アドバイスがより客観的になるからです。
とはいえ、掛け持ちするかどうかは性格によります。例えば、
- 日常的にLINEのやり取りを溜めがち
- 決められない性格(例えば居酒屋のメニューは誰かに任せがち)
に該当する方は、掛け持ちは逆効果になることも。まずは高評価サイト1つに絞ってスタートしてみるのがおすすめです。
転職エージェントを使っていることは薬局・企業にバレる?
バレることはまずありません。薬局・企業側は応募していない求職者情報を見れませんし、信用が命の人材紹介業は何より個人情報の扱いを徹底しているためです。
転職エージェントではなく、スカウト型求人サイトであっても、ブロック機能がついているので、しっかりと対策していればバレることはないでしょう。
LINEでやり取りできますか?
できます。というより、大手サイトはLINEでのやり取りが主流です。
LINEを知られるのが嫌な場合は、メール・SMSメールでも問題ありません。
薬剤師転職エージェントの断り方は?
転職エージェントからの連絡が面倒になり、利用を断りたい場合は、以下のような文面で一報入れましょう。
いつもお世話になっております。〇〇です。
諸般の事情につき、転職活動を一時休止することとなりました。今後の求人紹介は不要で、転職活動を再開する際には、改めてこちらから連絡させていただければと存じます。よろしくお願いいたします。
転職エージェントを使うデメリットは?
転職エージェントは求職者の内定が決まって収益が出る仕組みなので、一部の悪質な担当者に当たってしまうと、とにかく応募しましょう、と急かされることがあります。
転職の希望や軸が明確ならきっぱりと意思表示できると思いますが、押しに弱い人や担当者が正しいと思いこんでしまう人は、本当は希望していない薬局・企業に応募してしまうこともあります。
転職エージェントを利用する際には、希望条件や譲れない条件、NG条件などを明確にしておき、希望に沿わない求人は応募しないことが重要です。
薬剤師転職エージェントを使うメリットは?
以下のようなメリットがあります。
- 「何から初めて良いか分からない状態」からスタートして、転職成功までたどり着ける
- 腕の良い担当者なら、良い求人を見繕ってくれる
- 主体的に動かなくても、転職活動が半自動的に進む
- 選考落ちの理由が分かるので、薬剤師としての市場価値と改善点が分かる
- 採用担当者にプッシュしてくれる(転職成功すれば収益になるため)
- 選考の日程調整を代行してくれる
正しく選べば、デメリットよりもメリットの方が大きいです。
転職エージェントを使う際の注意点は?
以下の点は必ず意識してください。
- 担当アドバイザーに頼りきりになりすぎない
- 複数のサイトから同じ薬局・企業に応募しない
- 求人情報は自分で目でしっかり確かめる
特に担当アドバイザーを全面的に信用してしまう人も多いのですが、あくまで「求人を紹介してくれる人」に過ぎません。アドバイスも客観的に見えて、自社経由での採用につながりそうなバイアスがかかっていることがあるので、あくまでアドバイスは参考程度に聞き、最後は自分で判断する姿勢が欠かせません。
転職エージェントに断られることはある?
利用対象外の場合は、断られることがあります。例えば、地方に住んでいて紹介できる求人がほとんどないケースです。
また、あまりに短期離職を繰り返していたり、ブランク期間が長すぎたり(20年以上など)する場合は、「紹介できる求人はありません」とやんわり断られることもあります。
転職エージェントの選び方は?
複数まとめて登録し、最初のキャリア面談で「信頼できそう」と感じたところをメインで使うのが賢いやり方です。
転職エージェントのサービス内容は、どれも求人紹介・選考対策・日程調整代行・年収交渉代行の部分は同じです。(利用無料でサービス内容に差がないので、エージェントは差別化が難しい業態)
そこで転職エージェントは、「どのサービスか」よりも「誰に担当してもらうか(担当エージェント)」が重要なので、まずは比較検討してみることをおすすめします。
薬剤師転職エージェントのトラブル事例は?
以下のようなトラブルが想定されます。
- 情報のズレ(転職エージェントの情報伝達ミス)
- 重複で応募が進んでしまう
- 担当者との相性が最悪
- 担当者の業界知識が不足している
また、悪質な転職エージェントでは以下のようなケースも報告されています。
- 連絡があまりにしつこい
- 着信拒否しても別の番号からかかってくる
- いざ働いてみると聞いていた話と違う(嘘・騙された)
- 退会したのに連絡が来る(個人情報が削除されていない)
- 勝手にエントリーされた
薬剤師転職エージェントで内定が決まった後に辞退しても良い?
もちろん構いません。以下のような連絡を担当者にしておけば大丈夫です。
先日内定をいただきました○○薬局ですが、内定を辞退させていただきたく存じます。
せっかくサポートしていただいたのにも関わらず、このような結論となってしまい、大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。
薬剤師転職エージェントはしつこい電話がくる?
薬剤師転職エージェントは登録すると確認の電話がくるのですが、そのことを知らずに無視すると、何度かしつこめに電話がきます。
なぜなら確認の電話に出ない限り「仮登録」の状態が続いてしまうからです。
その電話に出れば、あとは連絡手段をLINEやメールに設定できるので、しつこい電話がくることはありません。
転職エージェントは新人薬剤師でも使って良い?
全く問題ありません。新人となると紹介できる求人の幅は狭まりますが、それでも今後のキャリアを見据えた職場を提案してくれます。
新人だからといって利用を断られることはありません。
薬剤師転職エージェントの非公開求人とは?
転職エージェントの求人検索欄に掲載されていない求人のことです。
会員登録すると紹介してもらえるようになります。
薬剤師転職エージェントの紹介料はどれくらい?
採用が決まった薬剤師の年収の30%ほどが相場です。
なので例えば年収500万円の薬剤師を採用すると、薬局・企業は転職エージェントに150万円ほど支払います。
会員登録不要の薬剤師転職エージェントは?
求人をとりあえず見てみる、くらいならどのサイトでもできます。
しかし、会員登録不要で応募まで可能なサイトはありません。また、多くのサイトでは求人詳細を見る際も会員登録が必要になります。
転職エージェントとハローワークはどちらを使うべき?
選択肢を広げるために、理想をいうと両方使った方が良いです。(どちらも無料ですし)
面倒であれば転職エージェントの利用をおすすめします。なぜなら、ハローワークは粗悪な求人が多く、また制度も古いため求人が探しづらいからです。ハローワークで仕事を探す人はだんだん減っています。
転職エージェントに登録するのは退職してからの方がいい?
在職中からで構いません。というより、働きながらの転職活動を効率的に進めるためにこそ、転職エージェントは使った方が良いです。
求人を探す手間が省けて、薬局・企業とのやり取りを全て代行してくれるからです。極端に言うと、決められた日に面接に行くだけで済みます。
薬剤師転職エージェントで「情報だけ教えてもらう」はアリ?
可能です。転職エージェントは「少し気になる」くらいの温度感でも利用できます。
情報だけ聞いて応募は直接する、というのもできなくはありませんが、後々のトラブルを考えると避けたいところ