看護師転職サイトの仕組みを、イラストを活用して解説していきます。
看護師転職サイトの仕組みを時系列に沿って見ていく
看護師転職サイトの仕組みを理解しやすくするために、「とあるA病院に看護師が転職するまでの流れ」を時系列に沿って見ていきましょう。
まずは、A病院が「人材不足で困っている。看護師を採用したい」という状況からスタートします。
人手不足に悩む病院Aが「人材紹介会社」に依頼
看護師の離職、医療現場の人材不足…など、様々な病院で看護師が足りない状況となっています。A病院も例外ではなく、「看護師に来てほしい」と考えているのですが、自社ホームページに応募を出してもなかなか人が集まりません。
そんな看護師不足のA病院のもとに、人材紹介会社の営業さんが現れます。人材紹介会社とは、人手不足の企業・病院などに「良い人材を紹介する」というビジネスを行っている会社です。
人材紹介会社の営業さんは「私が知っている看護師で良い人材がいたら紹介しますよ。どうですか?」と持ち掛け、A病院の採用担当も「じゃあ良い看護師がいたら教えてください」とお願いします。
さて、一旦A病院と人材紹介会社で契約成立です。契約内容は、主に以下のようになります。
契約内容
看護師を探すお手伝いはタダで良いです。その代わり、看護師の採用に至ったら(つまり良い看護師を採用できたら)、仲介手数料を払ってください。
要するに、「病院の代わりに看護師を探します。上手くいったら成功報酬を払ってね」ということです。
さて、一旦契約成立しましたが、人材紹介会社はどのようにして看護師を探すのでしょうか。
仕事を探している看護師が転職サイトに登録する
視点を変えて、ここでようやく「看護師さん(あなた)」と「転職サイト」の登場です。看護師さんは仕事を探すために、転職サイトに登録します。
すると、あなた専任のキャリアアドバイザーという担当者がつき、まずは「どんな仕事を探していますか?」とやり取りすることになります。
やり取りは最初だけ電話で行い、その後はLINEやメールを使います。最初の電話は所要時間15~30分ほどで、希望条件や転職相談、どんな病院があるのか、今転職しない方が良いか、などいろいろ話を聞くことができます。(「キャリアヒアリング」と言います)
そして、「看護師さんの条件に合う病院があれば、紹介しますね!」といって、その日のキャリアヒアリングは終了です。
さて、よく見るとグレーのスーツを着た女性「キャリアアドバイザーさん」は、A病院のやり取りで登場してきた人ですね。
実は人材紹介会社の営業さん=転職サイトのキャリアアドバイザーさんです。(営業さんとキャリアアドバイザーさんを別にしているサイトもありますが、たいていは同じ)
ここがポイント
「看護師転職サイト」と「看護師人材紹介会社」は同じもの。言い方が違うだけで、中の人は同じ。
キャリアアドバイザー、ピンとくる
看護師さん(あなた)の希望条件を聞いたキャリアアドバイザーさん。登録してきた看護師がどんな職場で働きたいと考えているのかを考えていくうちに、ピンときます。
「お互いにとって、良いマッチングになりそう」というわけですね。病院の採用担当者の話と、病院を探している看護師さんの話をじっくり聞いていたキャリアアドバイザーだからこそ、双方のニーズを満たすマッチングができるのです。
ひらめいたキャリアアドバイザーさんは、看護師さんに早速「A病院はどうですか?」と提案します。
この提案と同時に、求人に関する詳しい情報を共有してくれます。良いなと思えば、そのまま選考にエントリー。微妙であればスルーしてOKです。
いざ、選考へ
紹介されたA病院が良いなと思えば、そのまま選考に進みます。書類選考で問題なければ面接です。
面接の日程調整はキャリアアドバイザーが代行してくれますし、面接で聞かれる可能性が高いことは、事前に教えてくれます。
採用になれば、看護師さんは転職活動終わり。病院は人材紹介会社に手数料を払う
面接の結果採用となり、内定承諾をすれば、看護師さんの転職活動は終了です。
内定承諾となった場合、A病院は人材紹介会社(転職サイト)に成功報酬として手数料を支払います。
これで、転職サイトを使った転職・採用の一連の流れは終了です。
看護師は最初から最後まで転職サイトを無料で使える
看護師転職サイトの仕組みを簡略化すると、以下の通りです。
このようなお金の流れになっており、転職サイトにお金を払うのは病院なので、看護師さんは最初から最後まで無料で利用できます。
看護師転職サイトのメリット
評価の高い転職サイトに登録した、と仮定すると、看護師転職サイトは以下のようなメリットがあります。
①働きながらの転職活動が楽になる
看護師転職サイトは以下のことを代行してくれるので、働きながらの転職活動が楽になります。
- 希望に合った求人を探してきてくれる
- 面接の日程調整を代行してくれる
- 残業時間など直接聞きにくいことを代わりに聞いてくれる
- 入職手続きなども代わりに進めてくれる
- 最後の最後で、年収交渉などを代わりにしてくれる
転職サイトを使わない場合、上記は全て自分でやらなければなりません。時間に余裕があって、何度か転職経験がある方なら問題ないと思いますが、はじめて転職する方にとってはかなり難易度が高いと思います。
正直、転職活動にまつわる様々なことを代行してくれるという点だけでも、転職サイトを使う価値はあります。
②「入ってみなければ分からない情報」を事前に知ることができる
看護師転職サイトの担当者は、病院の人事担当者とやり取りを行っているので、「どういう背景で募集されているのか」「残業などの働き方は実際のところどんな感じなのか」を把握しています。そのため、いわゆる「入ってみなければ分からない情報」を事前に知ることができます。
また全ての転職サイトではないですが、入職者アンケート制度を実施している転職サイトでは、もっとリアルな情報を知ることができます。例えば、大手だとアンケートに注力しているのがレバウェル看護です。
入職者アンケート制度とは、A病院からB病院に転職した看護師に対して、「ぶっちゃけ、今のB病院は人間関係とかどんな感じですか?A病院と比べてどうですか?」とヒアリングすることで、A病院とB病院の「入ってみないと分からない情報」を集めているのです。(平たく言うと、ちょっとした内定調査みたいなものですね)
そして、この情報をこれからA病院・B病院で働きたいと考えている看護師さんに共有することで、「入ってみないと分からない情報が事前に分かる」という仕組みを構築しているわけです。
▼「実際に働いたことある人しか知らない情報を知っていた」という旨の口コミ
レバウェル看護に登録したら、病院の内部情報教えてくれるんだけど、前の職場の評判悪すぎて笑った。やっぱりあの最悪な職場は辞めて正解
https://twitter.com/gyhhfnej/status/1315540028337004545
転職サイトを使わない場合、こういった情報は知る術がありません。転職後に「こんなはずじゃなかった」という後悔を避けるためにも、ぜひ活用したいところです。
③面接で聞かれることを教えてくれる
転職サイトは、病院の採用担当がどんな人材を求めているかをヒアリングしており「こういうことを聞かれやすい」といった情報も把握しています。なので、面接前に想定質問を教えてくれることが多く、回答を事前に準備することができます。
緊張もほぐれますし、採用確率も高まるので、選考面ではかなりメリットになるでしょう。
④求人票より年収が上がる可能性がある
看護師転職サイトを使うと、普通に転職するより年収が上がる可能性があります。転職サイトの手数料は、看護師の最終的な年収にもとづいて算出されるため、キャリアアドバイザーにも力が入るものです。
要するに、あなたの年収が上がれば転職サイトの収益も増えるというWIN-WINな関係というわけですね。
看護師転職サイトを使うデメリット
看護師転職サイトを使うデメリットを解説します。
①やり取りが面倒でストレス
看護師転職サイトは、一人では完結しません。登録すると、あなた専属の担当者がついて、その担当者とやり取りをしながら転職活動を進めていくというのが、基本的な流れとなります。(賃貸契約と同じようなものと考えてください)
なので単純に知らない人と関わるのが面倒・億劫という人にとってはストレスを感じるかもしれません。そして、やり取りは大手の良いサイトならLINE・メールで行えるのでそこまで面倒ではないですが、評判が微妙なサイトだと「電話でのやり取りがメイン」ということもあります。
更に評判が悪いサイトでは、とにかく看護師を転職させようと鬼電してくる担当者も。「着信拒否をしても別の番号からかかってくる」「もうそちらのサイトは使いません、と言っても時間を置いてかけてくる」などは、実際にあった口コミです。
②話の通じない担当者に当たると心底ストレス
看護師転職サイトに登録すると、担当キャリアアドバイザー(CA)が専任となり、あなたの転職をサポートしてくれます。
具体的には、キャリアアドバイザーとの電話面談で希望条件(こんな職場で働きたいetc.)を伝えると、それに合致した求人を紹介してくれる他、選考に関するアドバイスをもらうことができます。
しかしこのキャリアアドバイザーは、全員が看護師業界のプロというわけではありません。
実際に、とある看護師転職サイトのキャリアアドバイザー募集要項では「社会人経験があれば可」と記載されているほど。
極端な話、キャリアアドバイザーは誰でもできる仕事です。仕事内容の実態は、電話面談で聞いた条件をシステムに入力し、出力された求人を看護師に送るだけですから。
「業界のプロが自分のキャリアの悩みを深くまで理解してくれて、ここぞという職場を紹介してくれる」このような過度な期待を持つと落胆すると思います。もちろん、中には業界歴の長いアドバイザーもいるかもしれませんが、そういった一部の有能な人に当たるかどうかは運次第です。
また、これだけなら「過度な期待は禁物」という話ですが、致命的なデメリットにもなり得ます。
例えば、「(別に看護師業界に詳しくない)担当アドバイザーを全面的に信頼しすぎて、おすすめされた求人に盲目的に応募してしまう」「転職ノウハウを体系的に理解していないアドバイザーの意見を鵜呑みにして、選考に落ちる」「業界知識が浅く、話が通じない」など。
プロではないだけならまだしも、基礎的な仕事力が欠如した担当者に当たると転職成功から遠のきます。
③自分のペースを乱されてストレス
転職サイトは登録時に「まずは情報収集だけ」といった項目を選択できるようになっています。しかし、実際に登録してみると、たいていのサイトは「転職活動を始める前提」で話を進めてきます。
転職しない人にただ情報だけ渡しても、転職サイト側からすればタダ働きになりますから、建前では情報収集だけでもOKと言いつつ本音は「どうにかして応募だけでもしてほしい。あわよくば転職してほしい」といった感じです。
この看護師と転職サイトの温度差から来る担当者からの「圧」が、自分のペースを乱されるようで嫌だという看護師も少なくありません。例えば求人を送ってきた後に「どうでしたか?応募してみませんか?」とグイグイ来られたり、面接に行って内定が出た後に「辞退するのはもったいないですよ」と急かされたり。ゆっくり色々考えながら転職活動を進めたい人にとっては、非常にストレスです。
更に言うと、「押しに弱い性格の人」や「断れない性格の人」にとっては冷静な判断を欠いてしまうというデメリットにもなり得ます。
①微妙な求人を熱心に紹介してきて、「とりあえず選考だけでも受けてみましょう」と説得される
②選考を受けるだけなら…と面接に行き、内定が出る
③内定承諾を迷っていると、「せっかく内定出たのにもったいない」とクロージングをかけてくる
④「サポートしてもらったし、断るのは申し訳ない」のように冷静さを欠いた判断をしてしまう
今より良い職場に転職するつもりで登録したのに、相手のペースに巻き込まれて正しい判断ができず、転職に失敗してしまっては元も子もありません。
ほとんどの看護師にとってはメリットの方が上回る
転職サイトを使うかどうかは、メリットとデメリットを天秤にかけて判断することが重要ですが、ほとんどの看護師にとっては、メリットの方が上回るでしょう。というより、使わないという選択肢の方が実はデメリットがあります。
転職サイトを使わないと、ブラック病院を避けられない
看護師の仕事探しの手段は大きく3つありますが、転職サイト以外の方法は難易度が高いです。
(1).転職サイト
(2).直接応募
(3).ハローワーク
(2)は、近くに気になる病院がある場合に限り、効果的です。紹介料も発生しませんから、病院も歓迎体制で選考に進むはずです(採用されるかは別の問題ですが)。ただし、「ここで働きたいとかは特にない」人にとって、近くの病院に一つひとつ問い合わせていくというのは無理があるでしょう。
(3)ハローワークは、ブラック求人が多いのでおすすめしていません。詳細は以下の記事で解説していますが、得られる情報がほとんどなく、また虚偽報告(求人票の情報が嘘)も多いです。見極めの難易度が非常に高いでしょう。
ハローワークは国が運営している機関なので、利用者からの評判が悪かろうと関係ありません。なので粗悪な求人は放置、窓口対応は雑。病院がハローワークに求人を出す際、一応審査はありますが実態はザルです。質の低い求人の無法地帯になっています。
一方、転職サイトは質の低い求人を扱うと評判が下がるので、求人の質に関しては割とシビアです。それに病院のリアルな事情も把握しており、この点だけでも転職サイトを使うメリットが大きいことが分かります。
転職サイトを使わないと、まともな求人を探す術がない
このような背景があって、今どきハローワークはあまり活用されていません。この状況を踏まえて、多くの病院では多少手数料はかかるものの、仕方ないと割り切って転職サイトを活用しています。
厚生労働省「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」によると、医療機関が採用した看護師のうち、ハローワーク経由で採用した看護師は15%程度しかいないとのこと。※一番メジャーな採用経路は転職サイト(紹介会社)で、全体の約40%。
そもそも人材が採用できないので、以下のような理由から「ハローワークをそもそも活用していない」という医療機関も多いです。
- なかなか求職者が集まらないため
- 採用のスピード感がないため
- 多くの求職者からの応募が期待できないため
ハローワークはもはや、看護師も病院も使っていない場所、といった感じです。
となると、転職サイトを使わないとまともに求人を探す術がないというのが現状です。
看護師転職サイトはもはやインフラ
「直接応募の方が理論上有利なら、転職サイトを使わずに、直接問い合わせた方が良い」というのは確かに一理ありますが、転職サイトを使わないと求人を募集している病院のことを知る術がありません。
ハローワークが機能していれば別ですが、もはやハローワークで仕事を探す人は少数でしょう。
繰り返しですが、今どきハローワークはあまり活用されていません。そういった状況を踏まえて、多くの病院では多少手数料はかかるものの、仕方ないと割り切って転職サイトを活用しています。(ハローワークがもっとまともな機関なら良かったんですがね…)
また、採用する側も手数料は渋りつつも、転職サイトを使わないと人が集まらないので仕方がないのが現状です。
結論、転職サイトを使わなければ、看護師は職場を見つけられませんし、病院は看護師を採用できません。
要するに、転職サイトは看護師と病院をつなぐ、プラットフォームとして、もはやインフラ的な存在になっているというわけです。
「よほどの理由がない限り、普通は使うものである」と考えてもらって良いでしょう。
身近な例でたとえると、「連絡手段としてのLINE」のようなものです。LINEを使う・使わないは個人の自由ですし、中には「個人情報を抜かれるから絶対使うな」という陰謀論的な主張を持っている人もいるようですが、よほどでない限り普通に使っていると思います。
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