人を大事にしない会社は、いずれ潰れる。長続きする会社は「社員に働いてもらっている」という姿勢、いずれ潰れる社員を大切にしない会社は「社員を働かせてやっている」という姿勢。この考え方の違いは、社員に対する待遇に顕著に表れる。人を大事にしない会社からは、優秀な人が順に辞めていく。会社を人間にたとえると、社員は血液のようなもの。血がなくなれば人間は生きていけない。
また、潰れそうな会社の社長は「新事業」を始めようと言い出すというデータもある。事業が傾き始めると、それをなんとか挽回しようとし、起死回生の一手として、新しいプロジェクトを急に始めようとする。しかしそれも突貫工事なので、うまくいかず傷口を広げるだけ。
もし職場が完全に崩壊する前に脱出すべき。企業からスカウトが届く大手転職サイト「Green」で情報収集から始めるなど、小さな一歩で始められる将来に向けた準備から着手しておくのがおすすめ。
会社は、ある日突然潰れます。
正確には半年くらい前からじわじわと傾いていき、限界に達したタイミングで倒産します。その過程では前兆も見られるはずです。
しかし、ほとんどの人は、倒産の前兆に気づけません。崩壊寸前なのに、悠長に「会社はいつまでもあるものだ」と考えてしまいます。あるいは会社の倒産は自分にはかかわりのないもので、まさか我が身に降りかかるとは思いもしていないのです。
この記事で解説するいずれ潰れる会社の特徴に該当する企業は、いわば船底に穴の開いた泥船です。じわじわと沈没しかけていて、気づいた時には手遅れ。逃げ出せるのは、一部の優秀な社員だけです。
もしあなたの会社が該当するなら、今すぐ脱出とまではいかなくても、いつでも逃げ出せる準備はしておいた方が良いでしょう。
前半では「会社が社員をどう扱っているか」という観点や社長の言動について、後半では会社の雰囲気に焦点を当てていきます。特に後半の会社の雰囲気は、普段の職場と照らし合わせて考えてみてください。
それでは早速、いずれ潰れる会社の特徴について解説していきます。
社員を大事にしない会社は潰れる
人を大切にしない会社は、人材不足で崩壊します。
長続きする会社と倒産するような会社は、人を雇うことに対する考え方がまるで違います。
長続きする会社は「社員に働いてもらっている」という姿勢です。事業は一人では成長させられませんから、お金を払って手伝ってもらっているという感覚です。
対して、いずれ潰れるであろう社員を大切にしない会社は「社員を働かせてやっている」という姿勢です。「仕事しないと生活できないだろ?だからうちで働かせてやる」といった感覚です。
この、人を雇うことに対する考え方の違いは、待遇に明確にあらわれます。
長続きする会社は、事業成長には人材が何より大事と考えるため、正当な評価、昇給、福利厚生など人材定着にとにかくお金をかけます。
人口減少の日本では、長い目で見て人材獲得が難しくなるのは明白ですので、「働いてもらうためにはどうすればいいのか」を考えているわけですね。
具体的には、社宅や住居手当、資格取得支援、子育て応援支援など、いずれもきちんと「社員にお金をかけている」会社は、長期的に見れば「人が集まる会社」になるでしょう。最近だと、社内のフリードリンクサービスやアニバーサリー休暇といった独自の福利厚生を設けている企業も増えてきました。
人を大事にしない会社の特徴
しかしこれに対して、人を大事にしない会社は、「働かせてあげている」が前提となるので、社員を大事にするという考えそのものがありません。
なので、次のような特徴が見られます。
- 基本給がベースアップしない
- 業績が微妙だと真っ先に賞与カット
- ○○手当などが基本的にない
- 会社イベント(飲み会など)が社員負担
- 定時で終わるはずのない仕事量がある
- 給料が低いのにみなし残業
- 従業員のリストラ、早期退職勧告
端的に言うと、社員にお金をかけないということです。
さて、こういった人を大事にしない会社では、次の出来事が共通して起こり、それが倒産の引き金になっていきます。
人を大事にしない会社からは、優秀な人が辞めていく
その引き金とは、優秀な人の退職です。
仕事ができる優秀な人は、とにかく見切りが早いです。この会社に未来はないなと判断したら、一瞬で辞めていきます。
それもそのはずですね。仕事ができる人なら、他に引く手あまたですから、転職も難しくないですし、能力を評価してくれる会社に移れば、給与も上がって待遇も良くなります。
いずれ潰れる会社にしがみつく理由なんて一つもないわけです。
会社の業績は社員の能力や頑張り次第ですが、業績が悪くなるであろう企業は、「頑張った人が報われない」「能力のある人に余計な仕事が回ってきて、サボっている人は楽をしているなど、仕事のできる人が軽視されます。
そして優秀な人ほど判断が早いので、気づいた時にはいなくなります。
そうなると・・・・
人手不足に陥り、一気に仕事が回らなくなる
優秀な人が去ると、これまでのように仕事が回らなくなります。ほんとうに大事な人はいなくなって分かる、みたいな話で、残った社員の負担がどんどん増えるわけですね。
そういった環境は、疲弊した人から退職していきますし、新しく入った人材も定着しません。今の時代、残業がない会社なんていくらでもあるわけですからね。
退職ラッシュが一度でも起きた日には、そこから会社が傾いていくでしょう。
ギリギリの状態で回している会社は、一部の優秀な人の存在ありきで成り立っていることも多いです。
自分が辞めたら会社が潰れる?
もしあなたが「自分が辞めたら会社が潰れる」と思っているなら、あなたは「その会社に残された最後の優秀な人」かもしれません。
とはいえ、意外とそうでもないケースも多いので、あまり責任を背負いすぎなくても大丈夫です。
潰れそうな会社でも意外と求人を出している
ちなみに、潰れそうな会社は人材を雇う余裕もないと思いがちですが、意外と求人を出しているものです。実際に、面接時は「業績が堅調」と説明されて入社し、その後数か月で倒産したという事例は多々あります。
背景としては、「業績不振を人材確保でなんとか立て直そうとしている(けどできない)」「人事部すらも会社の状況を正しく把握していない」などが考えられます。
求人を出しているから安心ではない点は理解しておきましょう。
また、余談ですが、潰れそうな会社は「経理担当者」が相次いで退職するという事例もあります。経理担当者は会社の経営状況を熟知していますから、業績の悪化にいち早く気づき、早い段階で退職していくのです。
さて、では少し切り口を変えていずれ潰れる会社の「社長の特徴」を見ていきましょう。
潰れそうな会社の社長は「新事業」を始めようと言い出す
倒産を予期した企業の社長の行動で最も多いのが、新しい事業を始めようと言い出すことです。
事実、直近10年以内に倒産経験がある経営者を対象にした取材で、倒産を予兆した際に取った対策は「新事業への転換」が最多(24.6%)という結果もあります。
事業が傾き始めると、それをなんとか挽回しようとし、起死回生の一手として、新しいプロジェクトを急に始めようとするというわけです。
もちろん、成功すれば会社は延命しますが、入念な戦略のない場当たり的なものになりがちです。多額の投資が無駄になり、余計に財政面に悪影響を与えてしまうこともあります。
新規事業以外の潰れそうな会社の戦略
ちなみに、前述の調査で「新規事業への転換」以外で、倒産の危機にある社長が取る行動は次の通りです。
- 営業活動・マーケティング・広告の拡大(16.2%)
- 追加の資金調達(16.2%)
- 従業員のリストラ(15.8%)
- コスト削減(14.2%)
- 不採算事業の縮小・撤退(13.7%)
- 既存事業の新市場への参入(13.6%)
先ほどの「人を大事にしない」の話でも出てきた「従業員のリストラ」も、やはり入っていますね。
上記の内容を簡単にまとめると、「もっと稼ぐための戦略を取る」「社員にかけるお金を節約する」ということです。
節約で言うと、会社のウォーターサーバーやレンタル備品が解約されるというのもよくある話です。
やばい経営者の特徴
新しいベンチャー企業などによくありがちな例として、社長が見栄を張る会社はやばいです。
「分不相応な土地にオフィスを構える」「社長がメディアにどんどん出始める」のような、顧客ではなく、自分の見られ方ばかりを気にしている会社は、あまり長続きしません。
社長の外出が増えたら危険なサイン
余談ですが、会社が傾き始めると、「社長の外出が増える」と言われています。
追加資金調達のために、様々な金融機関を訪れたり、金策に奔走することになるからです。また何か新しいことをしなければと焦り、他業種の人との会食などが増えることもあります。
「やけに社長の外出が増えたな」と感じる場合は、社長の動向を注意深く観察しておく必要がありそうです。
とはいえ、いくら会社の戦略を変えようとも、どうしようもない企業は存在します。その一番分かりやすい指標が「IT化が進んでいない」です。
潰れる会社は書類が多い
いずれ潰れる会社とは言い換えるなら時代についていけない会社です。その指標として新しいツールをなかなか導入しないという特徴があります。
顕著な例が書類です。時代についていけない会社は書類が多い傾向にあり、情報を「データ」ではなく「紙」で管理しています。
情報の扱い(管理・アクセス・検索性)で紙の方が良いケースはほとんどありません。ですが時代についていけない会社は既存の体制をなかなか変えられず、いつまで経っても紙の書類や古いツールを使い続けてしまいるのです。
こうした腰の重さはやがてビジネスの流れが変わった時に「周囲に取り残される原因」となってしまうでしょう。
今一番ヤバい、いずれ潰れる会社の特徴は「AIに無関心」
最近トレンドのAI技術に無関心な会社は、けっこう危ないです。IT産業だけでなく、全てのホワイトカラー職種に影響する技術だからです。
「いずれ遠い将来、AIで仕事がなくなる」、といった話は今までもされてきましたが、2023年に登場した「ChatGPT(対話型AIで、機械学習により非常に高度なアウトプットが可能になっている人工知能)」によって、数年後にあり得る話になりました。
例えば最新のGPT4にアメリカの司法試験を解かせると、上位10%に入るくらいの結果を出したと言われています。
このようなAIが世の中に浸透すれば、多くの仕事が取って代わられることは明白です。実際、日本のAI第一人者の松尾豊氏(東京大学大学院工学系研究科の教授)は、「ChatGPTはホワイトカラーの仕事ほとんどすべてに影響する」と提言しています。
しかし、そんな中、こういった世の中の流れに無関心な人も多く、例えば「経営者の6割はChatGPTを知らない」という調査結果もあります。
こういった情報感度の低い会社は、大きな世の中の変化に対応できませんから、いずれ潰れる可能性が高いと推測できます。
また、体制が古すぎて「AIはおろか、ITツールさえ導入できない」といった環境の会社も、変化に適応できず、いずれ潰れる可能性があります。
他にも、会話の周りを見渡して、誰もAIについて考えていない=要するに危機感が薄い、という環境は、じわじわと崩壊していくかもしれません。
倒産寸前の会社の雰囲気は、ゆるくて暗い。空気が悪い
長くなってしまいましたが、この辺りで潰れる会社の「雰囲気」の共通項をあげてみます。
結論から言うと、潰れる会社の雰囲気は非常にゆるく、そして暗いです。
時間や身だしなみにルーズな社員が多く、常にだらけた雰囲気を放っている会社は、全体的に緊張感がありません。
細かいところにまで気が回らないため、それぞれが些細なミスを繰り返していきますし、高いモチベーションで働く他社との競争に打ち勝てるはずもありません。
そしてそういう会社では、「他社との競争に勝たなくても別にいい」という意識の社員も多いです。
なんとなくどんよりしている
倒産寸前というわけなので、当然業績は悪化の一途をたどっています。
となると、会社の雰囲気もどんどん悪くなり、「部署の空気が悪く、ピリピリとしている」「常に怒っている人がいる」のような最悪な雰囲気になりがちです。
このような環境では、生産性が上がるわけがありませんし、社員も多大なストレスを抱えることになります。
潰れてほしいと思っている社員が多い
社員が会社に対して「潰れてほしい」くらいの敵意を持っていることがあります。
前述の「人を大事にしない会社」だからこそ、こういった感情につながるのです。
人は大事にされれば、それに報いようと頑張るものです。日頃の仕事が正しく評価されていて、給料や福利厚生で「大事にされている」と思えれば、人材は離れていきません。多少嫌な上司がいても、給料がグングン上がれば不満はないですよね。
ですが、会社から大事に扱われないのに、頑張る必要なんてないですよね。むしろ嫌悪や憎しみの感情を持っている人さえいて、退職したあとに「辞めた会社に潰れてほしい」という人もいます。
社員が会社のために頑張ろうと思える会社と、社員に憎まれている会社、どちらが長く続く企業かは明白ですね。
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まとめ:思い当たる節があるなら、脱出の準備から始めるべき
いずれ潰れる会社の特徴を解説してきましたが、あなたの会社に当てはまるものはありましたか?
もし該当箇所があるなら、なるべく早い段階から次の会社を見つける準備を始めた方が良いです。
先ほど経営層を対象にした調査の話をしましたが、その中で倒産企業の経営者の7割は「1年以内」に予兆を感じていたという話もされていました。
会社のトップが前兆を知ってから1年以内に倒産、というのは結構ハイペースかと思います。あなたがいよいよ「本気でヤバいかも」と思ったら、その数か月後には倒産に至る可能性もあります。
会社が倒産してから次の就職先を見つける、というのも可能ですが、「もしもの事態に備える」という意識は常に持っておいてください。
例えば、いい会社があればいつでも応募書類を送れるように、職務経歴書を作っておくとか良いですね。いざという時の備えとして、今すぐ取り組めるアクションのひとつです。他にも、世の中のトレンドをチェックして、好調な業界に目星を付けるとかも良いでしょう。
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